抗火石の鉢 工房はやちね

【実験室】 このページでは、抗火石鉢の特徴、機能を検証しています

■冷却効果
 なぜ抗火石の鉢に植えた高山植物が順調に生育をしたのでしょう?
一番の要因は、抗火石の良好な透湿性による「冷却効果」です。 これは気化熱の働きです。
 高山植物が温暖な市街地でうまく育たない原因は言わずと知れた、自生地と市街地との気候の違いです。 その中でも重要な要素は、夏場の高温をどう乗り切るかということです。 理想的には、外気と地中の温度、湿度が両方とも生息地と同じ条件になることですが、人工的にその環境を作り出すのは一般の家庭では現実的ではありません。 しかし植物には、外気温より地中の温度に大きな影響を受ける性質があるようです。
 畑作農業でマルチ栽培(マルチング)という方法があります。 畑の表面を黒いビニールシートで覆って、小さな穴から作物が生えている・・あれです。 マルチ栽培にはいろいろな利点がありますが、外気温がある程度低くてもマルチングによる地中の温度上昇が植物の生育に好条件となることを利用した農法です。 逆に高温に弱い高山植物にとって、気化熱により地中の温度が下がることは非常に重要な要素だと考えられます。

■抗火石の鉢の冷却効果を実験してみました

・実験日:2009年8月12日 13:00 晴れ 気温 35℃ 微風 湿度(不明)
・午前中日当たり良く、11:00ころから木陰になる広葉樹の下での実験です。
・用土:硬質鹿沼土 50% 十和田砂(軽石) 50%
・朝 7:30に水やり、13:00頃から測定を開始しました。

以下、実験結果。

外気温
温度センサーを外気にさらした状態で「35℃」

山野草鉢の用土内温度
一般的な山野草鉢の用土内温度「30.1℃」

抗火石鉢の用土内温度
抗火石鉢の用土内温度「27.2℃」

 一般的な山野草鉢でも、水はけ、通気性の良い用土を使用することによって、かなりの冷却効果があります。 高山植物の用土に「軽石系」の用土が良いとされるのは、こんな効果があることもひとつの理由でしょう。
 抗火石鉢では同じ条件で、さらに約3℃の冷却効果がありました。外気温との差は、なんと7.8℃です。 この効果は絶対的なものではなく、湿度が低いほど、風通しが良いほど効果が大きくなります。
 抗火石の鉢が、高山性の植物の栽培に最適の素材だということを実感していただけたでしょうか?

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■気化熱とは・・?
 学校で理科の時間に習いましたよね (^-^)v
 「気化熱」とは液体が蒸発して気体になるときに周囲から吸収する熱のことです。 その熱は液体が接しているものから奪って蒸発します。 抗火石の鉢を通過して蒸発する水分は、抗火石の鉢と栽培用土の熱を奪って蒸発します。 抗火石は水に浮くくらいですから、その内部及び表面には大変多くの小さな空気穴があいていて、それは大きな表面積を持つということです。 表面積の大きな抗火石の鉢からは、より多くの水分が蒸発しその気化熱も比例して大きなものになります。 そのことが強力な冷却効果につながります。
 風邪をひいて熱があるとき、おでこに濡れたタオルを置いて冷やすのと同じ理屈ですネ。

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